認知症判決に思う

今日のほのぼのワイド「こずえとお茶しませんか」木曜日のテーマは認知症についてです。

 一昨日最高裁判決が出ました。本当に良かったとほっとしました。1審、2審と、その判決が何とも気の毒というか腹の立つ内容だったので、今回の判決は一様に良かった!という雰囲気で、この裁判官の名前を覚えておこうとこずえさんがおっしゃるのも同感!!です。

 でも・・・数年前のことをふと思い出してしまいました。

 私のところに夜中に電話が来たのが始まりです。私達のNPO「未来クリエート21」でサポートしている一人住まいの女性の方からでした。

「育子さん、ちょっと来て!泥棒にはいられたの!」

え~??大変!!でも命に別状がなくてよかった!とまず一安心してから、警察に電話して来ていただき、同時に私もお宅に駆けつけました。泥棒と名指しされたのは隣にお住まいの一家のご主人です。私もよくよく存じ上げている方でした。

ところが状況を詳しく聞いても一向に埒が明かない話なのです。お隣の方も出てきてくださったのですが、ご主人も奥様も怒り心頭です。

警察の方もだんだんとおかしいと気がついたらしく、「この方認知症じゃないでしょうね?」と聞かれました。私もそう言われてはっと気がついたのですが、被害妄想的な現れ方があると聞いていたものの、今回がそのケースだとは疑っても見なかったのです。

どうもそうらしいとわかって納得はしたものの、収まらないのはお隣のご一家です。いくら認知症でも警察に取り調べられるなんてとんでもない!許せない!というわけです。

それはそうですよね。私もこの方の立場ならとても「はい、そうでしたか。わかりました。しかたないですね」というわけには行きません。一体この不名誉をどうしてくれるのか、近所の方々にも弁解して歩かなければならないし!と憤懣やるかたない状態でした。

 私は認知症の女性の代わりに平謝りに謝ったのですが、そうしてそのままにしておくこともできず、それがきっかけで遠方にいる親戚と相談し、施設に入っていただいたのでした。

 お隣の方はそれで漸く納得してくださったのですが、彼らの立場に自分がなったときのことを考えると、認知症だから、ほかに責任をとってくれる人がいないからと、簡単に許せる話ではないだろうと思います。

 この場合は被害が名誉毀損というだけで終わったのですが、いろいろなケースが考えられます。

今回の判決はそういう課題を残した判決ですし、これを契機に「明日はわが身」となる認知症について、どうしたら、その影響を最小にすることが出来るのか、もしそうなった場合、どうしたらよいのかも含めて皆で理解しようと努めることが大事だろうと思います。

 ご近所の付き合いがここでも身を助けてくれる事になりそうですね。まずは家族が認知症であることをご近所におおっぴらにして、何か変だと思うことがあればすぐに連絡しあえるような状態を作っておくことが

私達がすぐにでも取り掛かれる解決策と思います。

SBSスタジオで中村こずえさんと